「暮らせる蔵」 ドイツ製のウッドチップ入り再生壁紙 |
今回は、仕上材をメインにプレゼンテーションしました。
内壁は、オガファーザーというドイツのオガナラ社製の再生壁紙を採用予定です。
イケダコーポレーションという輸入販売会社に頼んで、石膏ボードに実際に張った大きなサンプルを作ってもらいました。
本来、塗装用の下地壁紙なのですが、塗装しなくても、しっくいのように真っ白で十分きれいなので、そのまま使います。
「田原の大屋根の家」では、ほとんどの壁に使いました。
点検で伺った時に何度か見ましたが、きれいなままです。
階段の内側の壁はどうしても、お子さんがさわってしまうので、ちょっと手あかで汚れていましたが、元は紙なので、消しゴムで消せますよとお話しました。
同様の商品で、ドイツ製のルナファーザーとかラウファーザーと呼ばれる壁紙もありますが、ほとんど同じものです。欧米の家の室内はペンキ仕上げが一般的であり、自分でメンテナンスするのも当たり前になっています。特にアメリカでは家は資産価値と考え、収入が上がれば、転売して、もっといい家を買うので、転売時に高く売れるよう一生懸命、メンテナンスします。日本と違って、古くなっても、資産価値は大幅には下がらないのです。特に古いものを好むイギリスでは、古いもののほうが、価格が高い場合もあります。
以下にオガファーザーの特徴を書きます。カタログ記載事項を私の言葉で補足しています。
木材のチップを漉き込んであるので、紙だけよりもさらに吸放湿性が高いです。
通気性がよく、カビが発生にくいです。ほとんどのビニールクロスには、吸放湿性・通気性がないので、体にはあまりよくない防カビ剤を使っています。
木や紙を使ったエコロジーな自然素材です。ビニールクロスは塩ビやオレフィンなどの化学物質です。シックハウスの原因となるVOC(揮発性化学物質)を量の大小はあれ、発生させます。
国際バイオロジー国際機構の規格に合格しています。
当然日本のF☆☆☆☆を取得しています。
クロスのりは職人が扱いやすい、日本製の安全性の高いものを使っています。
長持ちしますので、20年以上張替えの必要がありません。ちなみに、ビニルクロスメーカーのカタログには、「メンテナンス」のページに「使用状況によって10年を目安に張替えをおすすめします」と書いてあります。実際には、みなさん住宅では10年以上張替えなしでいるとは思いますが。
ビニールクロスと違って、静電気が発生しないので、ほこりがつきにくく汚れにくいです。
手あか程度は消しゴムで消せるので、メンテナンスが容易です。
汚れたりしたら、DIY(自分で)塗ればいいですし、気分転換に、色を変えるなど何回でも上から塗れます。
傷が付いた場合は、その部分を四角にカッターでカットし、同じ模様のオガファーザー(ウッドチップの大小で3種類ある)を取り寄せ(インターネットで注文可能)、自分で手で四角にちぎります。ちぎれた端部は繊維が出てほころんでいる(和紙を手でちぎった時のイメージをしてください)のですが、それをクロスのりで貼り付け、周囲にそのほころびを広げるようにのばすと、継ぎ目が目立たなくなります。
白い自然水性塗料デュブロンを傷や汚れの上から塗って直すという方法もあります。
いずれも、自分でできます。
日本のビニールクロスはすぐに廃番になるので、メンテナンスしたい時には、その商品がなくなっていて、このような補修ができないので、壁一面とか、部屋全体を張り替えなければなりません。
ビニールクロスは張りかえる時に下地の石膏ボードの紙まで取れてしまうので、取った後は凸凹になりやすく、次に張るビニールクロスは厚手の発泡層のあるものを選ばなければ、下地の凸凹が目だってしまいます。
発泡層が大きいほど、VOCも増えます。
日本の壁紙メーカーはあえてこうしていると私は思っています。リフォームでも儲けるために。しかし、燃やすと有害ダイオキシンガス(最近の商品はガス量が減ってはいますが)を出す廃棄クロスを作り続けることになり、地球環境や空気環境に注目されている現代、改めなくてはいけない時期にきていると思います。
ドイツや欧米では、定番商品は何十年も同じものが作られ続けているので、数年後にも同じ商品が入手できるのです。
仕上げとしては不燃(日本の不燃認定を取得しています)ですが、建物解体時などの廃棄処分時には、木や紙を燃やすのと同じで、有害ガスが発生しません。
キッチンでガスを使いたい場合、建築基準法で内装制限といって、内装を準不燃材以上にすることを要求されますが、不燃材なので、クリアできます。
ただし、自然素材なので、デメリットもあります。
まず、若干、ムラのように見える部分がたまに出ることです。これも自然素材だからと考えていただき、風合と思っていただければいいと思いますが。経年でムラは周囲になじんで、目立たなくなってくるでしょう。
工場生産時のロットによる色違いも出る可能性があります。
塗装下地なので、塗装すれば全く問題ないのですが、塗装はコストが高いので・・・(オガファーザ張り+塗装は左官壁よりはちょっと安い程度)予算がある場合はお勧めします。LDKだけ塗装するなども考えられます。
施工が難しいので、材料自体は格安(270円/m)なのですが、施工費を合わせると普及品ビニルクロスよりも高くなってしまいます。普及品ビニルクロスの材料費の定価は1090円/mです。
しかし、珪藻土などの左官仕上げやペンキよりは安いので、採用しやすいです。
ジョイント部分がビニルクロスよりは若干目立つこともあります。
吸放湿性があるので、施工後、若干、ジョイント部や木製建具枠などの取り合い部に小さなすきまが出てくることがあります。季節が変わり、元に戻ることもあるのですが。
これはムクのフローリングにも言えることです。ムクのフローリングは伸び縮みがあるのです。夏は膨張し、冬は収縮するのです。
日焼けはビニルクロスよりはしやすいですが、全体に色が変わってくるので、新品サンプルを横置いて比べれば色が変わったと分かるかもしれませんが、普通は暮らしていると気づかないでしょう。
塗装すれば、防げます。
これらのデメリットがあってもなお、コストパフォーマンスが高く、数々のメリットの方が大きいと思いお勧めしています。
予算があれば、他の壁材もお勧めしています。