豊田市美術館を設計した世界的建築家谷口吉生さん |
豊田市美術館は好きな美術館です。
展示もすばらしいですが、建築自体がすばらしいです。
私の尊敬する世界的建築家 谷口吉生さんの設計です。
豊田市美術館は、国内外の近代および現代美術を展望するに相応しい総合美術館を目指し、1995年11月にオープンしました。美術館のある場所は、豊田の中心市街地を見下ろす小高い丘の上。ここは、「七州城」と呼ばれた旧・挙母藩(現在の豊田市)の城があった場所で、現在も美術館の入り口近くに復元された七州城の隅櫓が残されており、当時の城の面影を忍ばせます。美術館の敷地の西側は、この隅櫓や茶室が日本式庭園の中に点在し、歴史的景観を形成しているエリアです。又、反対に敷地の東側の切り立ったテラスからは、“クルマのまち”豊田の市街が一望できます。美術館の建物は、町の歴史と現代の文化とが出合うこの城跡の特性を活かし、過去と未来の境界線のように、敷地を南北に横断するかたちで設計されました。
建築家、谷口吉生氏の代表作のひとつとなった当美術館の建物は、モス・グリーンのスレートと乳白の磨りガラスで構成されたモダンな外観や、水平、垂直の直線と矩形を基調とするミニマルな建築空間に特徴があります。内部の展示室は、美術館の大きな箱のような空間を大小に区画するように設計されており、来館者は11室ある展示室を回廊を巡るように歩きながら作品鑑賞を進めていきます。
また館内には、講演会やコンサートなどを行う講堂、図書閲覧室、A.V.ブースをはじめ、テラスを見ながら食事・喫茶が楽しめるレストランや、美術に関する書籍や様々なグッズが並ぶミュージアムショップなどの施設があります。また、屋外には人工の大きな池と庭園が整備されており、水と緑に包まれたその空間は市民の憩いの場となっています。
豊田市美術館では、美術館の最も大切な使命は、“ひとりひとりが作品と対峙しながら作品との関係を成立させていく”場所を提供することにあると考えています。その為、当館では今後も来館者に最良の「鑑賞の場」を提供する努力を継続していく所存です。