「日本の家」を読みました |
たまってしまった大量の建材などのカタログや建築の本を読みました。
なので半分仕事みたいなもんでした。
設計中の「(仮称)刈谷の家」は古民家スタイルなので、最近は民家について、調べたり、研究しています。
中川武さんという早稲田大学教授の建築史家が書いた「日本の家」という本を読みました。
建築の歴史を研究されている方の本なので、民家の成り立ちや大黒柱などの構成部材がどうしてこういう形やスタイルになったのかを分かりやすく解説していて、興味深いです。
それぞれに、その形になった必然や意味があるのです。
例えば、大黒柱ですが、今の住宅ではあまり見かけず、世帯のご主人のことを大黒柱と呼ぶことに言葉が残り、世帯の中心を意味しています。
ぶっとい大黒柱は、大昔からあったわけではなく、当初は他の柱と変わらない太さだったそうです。
いわゆる田の字プラン(漢字の「田」の形に間取りが似ている)と呼ばれる開放的な民家の間取りにおいて、東の大きな土間とそれより西の床を張ったエリア=揚床(あげゆか)の境界に立っていた建物中央の柱が、建築構法の進歩などによって、柱を減らして長い梁を架けるようになり、必然的に、4方から梁のかかる中央柱が太くなっていきました。
幕末頃、現金収入につながる作物を得て裕福になった庶民が、これを大黒柱と呼ぶようになり、そこにけやきなどを用いて、いっそう太くなって大黒天などを祀り、家の象徴となっていったのです。
もともと日本人には長野県諏訪の御柱祭(おんばしらまつり)で知られるように、太い大きな木に神聖さを感じ、神の存在を信じていました。
(先日の春の祭りで、柱から落下して亡くなった方があったと報道で知りました。ご冥福を祈ります)
ただ、古民家の形だけをまねて設計するのではなく、その本質や意味を理解した上で、設計したいと思います。
そもそも完全に古民家を再現することはできないですし。
使ってある写真がとてもきれいで、民家のもつ本質をよく表現しています。