「暮らせる蔵」 計画案プレゼンテーション |
「暮らせる蔵」がタイトルです。(クラという言葉を掛けています・・・)
蔵といっても、地域によって、用途によっていろんなスタイルがあるのですが、当然ながら、蔵は住まいではなく、大事なものを保管したり、調味料や食べ物や飲み物を熟成させるための建物です。
蔵は防火のためや、年間を通じて外の温湿度の影響を受けにくくするため、厚い土壁で作られ、小さな窓しかありません。
また、軒裏は防火上の弱点だったため、軒の出を少なくし、壁面からわずかに手前に傾斜させた大きな破風を持つスタイルとなりました。
軒出が少ないので、壁には防火・防水性の優れたしっくいを塗り、地方によっては「なまこ壁」と呼ばれる平瓦の目地をしっくいで盛りあげたデザインも見られます。
雨のより多くかかる低層部外壁は黒板張りとすることも多く、焼き杉を使ったり、柿渋と呼ばれる日本古来の防水、防腐、防虫、抗菌効果に優れた塗料に縄の灰を混ぜて黒く塗っていました。
そんな古来からの「蔵」の建物スタイルをそのまま用いると、窓が小さいので、暗くて風通しが悪く、また、軒出が小さいので、雨の時に窓を開けられず、住まいとしては適しません。
そこで、「蔵」のもつ、防火性や夏涼しく 冬暖かいという断熱性、自然素材のもつ吸放湿性は残しつつ、現代の住まいに必要な耐震性と光と空気の流れを与えます。
そして「蔵」からイメージされる「大事な家族や家財というものをつつみこむ安心感、安定感、重量感、落ち着き、なんだか懐かしく心和む雰囲気や癒し」を持ちつつ、阿久比町の気候・風土やご家族の住まい方に合わせてアレンジを加えました。
大屋根で、吹抜のある、蔵のようながらんどうな一体空感を創り、提案しました。
気に入っていただけたようで、ほっとしました。