画期的な樹脂製のふく射式冷暖房パネルの「クール暖」のメリット |
あったかくて省エネな家にするために、高遮熱・高気密・高断熱にするのは、もちろんのことなんですが、吹抜のある、設計中の2軒の家の冷暖房をどうするか、検討しています。
樹脂製のふく射式冷暖房パネルの「クール暖」を扱う、協立エアテックと打合せしました。製造メーカーは北海道のテスク
(クール暖のことは、エコハウス研究会愛知を主催するエコ建築家の丸谷博男さんから、会で聞きました)
夏は冷水、冬は温水を循環させ、放熱パネル部から、ふく射波を放射する、冷暖房システムです。
ふく射式のいいところは、エアコンと違って、空気を暖めたり、冷やしたりするのではなく、ふく射波の遠赤外線の効果で、身体を暖めたり、冷やしたりするのです。
冬、外が寒いのに、おひさまが当たっている部分だけ、あったかく感じる、「ひなたぼっこ」。
これは、太陽のふく射熱による効果です。
夏、蔵やトンネルの中に入った時に感じる、「ひんやりとした涼しさ」。
これは、身体の熱が温度の低い壁に奪われて、涼しさを感じる現象で、同じく、ふく射の効果です。
このように、空気を媒体とせず、熱が伝わる現象が「ふく射」で、温度が高いところから低いところへ、熱の移動が起こるのです。
「空縁の家/豊橋」では、別のメーカー((株)エコファクトリーのエコウィン)というアルミ製のパネルを採用したことがあります。
設計時過去ブログ
建設時過去ブログ
エコウィンHPに施工事例として掲載。
エコウィンにも樹脂製の製品もあります。
ふく射式は、エアコンとは違う、様々なメリットがあります。
<体にやさしい>
無風・無音・無臭で、体にストレスがかからない
<健康>
床や空中に浮遊するハウスダストやダニ、カビを巻き上げたりすることはない
それに伴う、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、目やのどに対する違和感がない
燃焼ではないので、空気を汚さない
汚れた空気を換気する時に、大量に入ってくる冷たい外気の流入がない
部屋間の急激な温度変化によって、心臓を圧迫して死に至らしめる可能性のある、「ヒートショック」の恐れが少ない
そのために、パネル複数枚設置による全館冷暖房をお勧めします
壁掛けエアコンを設置しにくい、玄関、ホール、廊下やトイレや洗面室、脱衣室、浴室(在来工法なら可能?)にも設置すると、よりいい
<心地よい温度環境>
室内のどこにいても、また床、壁、天井の温度ムラがなく、均一
吹抜を、壁掛けエアコンで暖房しようとすると、あったかい空気は軽くなって、上がってしまい、足元が寒くなりますが、ふく射式は、上下温度差が少ない
パネルから全360度の方向へ、ふく射されるので、間仕切壁などの障害物があっても、多少効果は低下するものの、熱が伝わる
なので、インテリア的に、壁掛けエアコンが設置しにくい、本格和室等に隣接する廊下等に設置する案もありえる
ふく射波は、床、壁、天井などに当たると、『エネルギー保存の法則』により、反射・透過・吸収・屈折のいずれかの現象を示し、熱がまわりこむ
パネル側を向いている体の前側だけが、あたたかいのではない
窓際にパネルを設置すると、冬、窓を冷気が伝っておりてくる「コールドドラフト」を抑える効果がある
リビング内に階段がある設計をすることが多いですが、2階から冷気が降りてくるところに、パネルを設置したり、2階の階段や廊下に設置すると、冷気が降りにくくなる
<自然の風も利用できる>
空気を熱媒体としないので、窓を開放して風が吹き抜けても、暖かさ、涼しさは、あまり変わらない
<安全安心>
さわっても熱くないので、やけどの心配がいらず、赤ちゃんやお年寄り、ペットのいる家庭でも安心
(標準では夏15度、冬40度の冷温水をパイプ内に流す)
火がないので火災の恐れがない
建物に固定されているので、地震時に転倒することがない
ぶつかっても、樹脂が衝撃を吸収
<湿度コントロール>
冬は、室内の湿度に影響を与えないので、過乾燥になることがない
夏は、パイプ表面に空気中の余剰湿気を水滴として吸着(結露)させて、除湿
パネル下部のドレンパンから結露水を排水
<省エネ・省ランニンブコスト>
循環する冷温水は、室外に置かれた高効率なヒートポンプ室外機でつくりだし、ランニンブコストが安い
家の断熱・気密・遮熱性能や蓄熱性能が格段に高ければ、安い深夜電力を利用して、その時間のみパネルを冷暖房し、電気代の高い日中はOFFにすることも可能
ふく射は体感に直接作用するため、暖房時に低めの温設定度でも暖かく感じ、冷暖房時には高めの設定温度でも涼しく感じる
パネルを構成する樹脂パイプが、金属製よりも熱効率が高い
<周辺環境への負荷軽減>
パネル枚数=室外機の数ではないので、複数のパネルを1台の室外機でOK(家の断熱性能にもよる)
室外機の大きさは、壁掛け用エアコンのものとあまり変わらない
屋外の省スペース化、外観の美しさ向上、室外機から出る熱による、夏のヒートアイランド現象の緩和
室外機からの騒音や熱風、冷風など、近隣への迷惑緩和
(壁掛けエアコンの場合は、基本的に1室1台の室外機必要なので、4LDKの家なら、5台室外機必要)
<エコ>
金属製パネルに比べ、製造時エネルギーや発生するCO2が少ない
リサイクル可能
<省メンテナンス>
フィルターがないので、手の届くパネルや下部のドレンパン(結露水やほこりがたまる)をふき掃除する程度ですみ、メンテナンスがラク
ヒートポンプ室外機は、大手メーカーの長府製作所製なので、全国にメンテナンス体制あり
遠い将来の、室外機の交換も可能
樹脂パイプは鉄製と異なり、サビなどの腐食がない
パイプどうしは、製造時の熱溶着により、継ぎ目がなく、漏水の心配も少ない
パネルには、モーターなど壊れる機械部品がない
<操作容易性>
リモコンで温度設定するくらい
<インテリア性>
白いパネル(写真のサンプルパネルより、現行仕様品は、もっと白い)が空間に溶け込みやすい(白い壁などのインテリアなら、なおさら)
愛知県は寒冷地ではないので、パネル内に循環される循環液は、緑やピンクの不凍液ではなく、普通の水を使えるので、見た目も白いまま
パネルを構成するパイプが細くて、手前と奥の2列に並んでいても、ボリューム感が少ない。
全方位ふく射なので、壁の前に設置するよりも、空間の真ん中に設置したほうが理想的ですが、縦格子状のパネルなので、むこう側がすけて見えて、空間の連続性を損ないにくい
<設置可能性が広がる>
家の真ん中に冷暖房したい部屋などがあるようなプランの場合、ドレーン水(結露水)が発生する壁掛けエアコンでは、設置できないケースもありえるが、パネルの場合はクリアしやすい
<趣味をエンジョイ>
パネルは、無動力でモーターがなく、風切音もなく、全く音がしないので、オーディオルームやホームシアターやピアノ練習など音楽室に向いています。
夏は除湿が行えるので、ピアノ調律回数が減るメリットも。
自宅で教室を開いている方などにもお勧め。
静けさの必要な書斎にも。
<ペットも家族>
やけどしない
抜け毛をまき上げない
留守にしておいて、でかけても安心
夏の熱中症対策
このように、いいところがたくさんありますが、デメリットもあります。
次回はデメリットについて。
その対策も示します。