配管のない全熱交換型換気扇インヴェンター その2 |
換気扇の熱ロス対策として、従来から、全熱交換型換気扇というものがありました。
その名前の通り、「熱」を交換するのです。
冬は、部屋内の暖まった空気が排気時に、全熱交換機を通る際、その熱を機械内部に留めておきます。
外からの冷たい空気が、部屋内に給気として入ってくる時に、全熱交換機を通る際、機械内部に留められらた熱を空気に与えます。
外からの冷たい空気が、暖かい空気として入ってくるのです。
夏はその逆です。
主に2種類の方式があります。
ともに三菱電機のロスナイが有名です。
ネーミングは、エネルギーの損失(ロス)が無い(ナイ)換気扇という意味。
ひとつは、ダクトセントラル方式です。
各室からの給気管や排気管というダクト配管を天井内や床下に引き回し、それらを天井裏など、各階に設置された大型の全熱交換機に接続するのです。
ダクト内の清掃ができないので、機械のフィルターのこまめなメンテナンスが欠かせません。
しかしそれをしたとしても、給気ダクト内にカビ・ダニが繁殖すると、その菌を室内に持ち込む可能性があることが問題です。
機器や配管工事などのコストが高いです。
梁下に配管を引きまわすため、天井ふところが大きく必要なので、家の階の高さを高くする必要があります。
もうひとつは、ダクトのない、壁掛型などの小型の局所型全熱交換機です。
小さめのエアコンのような感じです。
局所で空気の出入りを行うので、屋外に排気された汚染空気を再び給気してしまう可能性があり、さらに室内では、せっかく給気した新鮮空気が、部屋全体に行きわたる前に排気されてしまうという換気効率の低さ(ショートサーキット)が問題です。
個別換気はもう一つの大きな問題があります。
それは基準上、一台のファンで二室以上を換気することが認められていないことです。
このため、換気扇の数は居室の数だけ必要になるほか、ホールや廊下などを含めた全般換気をしようとすると、居室以外にもファンを数台付けることになり、このほかにトイレや浴室に独立のファンが必要になります。
この結果、ファンの台数は一戸でトイレ・浴室を除いても五~七台が必要になるほか、電気代がセントラル方式以上にかかるなど、本来の個別換気の良さはなくなります。
次回に続く。