工務店の経営状況調査 |
これらは、住宅購入者の立場に立って、万一の工務店倒産や業績悪化による補修費捻出困難という事態に対処するためのものです。
私達設計事務所に住宅の設計の依頼があった場合、図面完成後、基本的には地元の工務店数社に声を掛けて、競争見積もりに参加してもらいます。
お施主さんから、知り合いなどの工務店をご紹介いただく場合もありますが、ない場合は、私達から、数社をご提案という形で紹介させていただいています。
その時に提案する際、技術力などはもちろんのことですが、ある程度、工務店の経営状況を把握した上で提案するのが、望ましいと考えています。
一時期の愛知県の盛況な住宅需要のあった頃と異なり、この不況下では、どんな会社であっても「倒産するかもしれない」と考えて、選定に当る必要があります。
建通新聞という業界紙は、年に一度、建設会社や工務店などがその本社の所在地ごとに、一覧になった情報を出しています。私達は昨年9月発行のものを持っています。
そこには、完工高、官庁が評価した技術評価点Pとともに経営状況を評価したY評点が記されています。
これで、ある程度のことは分かります。
ただし、官庁に指名願いを出している(=官庁発注の工事を取りたい)会社や、ある程度以上の規模の会社しか掲載されていません。
住宅を専門としている会社は、官庁に指名願いを出さないので、掲載されていないことが多いのです。
そこで、私達は、経営状況を調査する会社と契約して、候補工務店の経営状況を調査することにしました。
帝国データバンクと東京商工リサーチ、リスクモンスターの3社からパンフレットを取り寄せたり、直接説明を聞いて、調査内容や価格などを比較検討した結果、東京商工リサーチと契約しました。
帝国データバンクは業界No.1、東京商工リサーチは2位の会社です。
この2社で、90%のシェアがあるそうです。
しかし、調査したからといって、倒産しない保証はないので、なるべく「完成保証」を付けている工務店をお勧めしています。
最近、全国で工務店やハウスメーカーの倒産、破産、民事再生法適用申請が続いています。
丸一工業(一宮市) 建設会社 負債26億円
愛松建設(稲沢市) マンション分譲 負債100億円
東新住建(稲沢市) 県内住宅分譲1位の会社でした。負債491億円
トップハウス(津市) 戸建住宅・マンション分譲 負債76億円
富士ハウス(浜松市) 岡崎中日ハウジングセンターにもモデルあり 負債638億円
松本建工(札幌市) FPの家を全国フランチャイズ展開 負債134億円
ダイヤ建設(東京) マンション分譲 負債300億円
年間1800棟建てていた、中堅ハウスメーカーの富士ハウスは完成保証を付けていなかったので、破産手続き開始時点で、着工済みで未完成現場が728棟、契約済み未着工物件が806件は、過払いした工事費の大半か全額が返されず、工事再開が困難になっています。
完成保証制度については、過去のブログをご覧ください。